世界の端からダイビング

たまきが書いてます。

2020年12月6日 打首獄門同好会 新型コロナウイルスが憎いツアー Zepp Fukuoka 覚書

※ネタバレを含みます。ご注意ください。

 

 

開場の15分前に着いた。

 

10ヶ月前の今年2月、同じZepp Fukuokaでのワンマンライブでは長蛇の列ができていた物販も今日はすでに締まっていた。整番の列にも驚くぐらいぱらぱらとしか人がいない。

 

ちらほらと獄パーカーを着ている人を見かける。でもほとんどの人はアウターを着ていて(私もだけど)、背中の獄が見えないのはちょっと淋しくなってしまった。ライブではあまり見かけないスカート姿の人が何人もいてそれもびっくりした。

いつもと様子が全く違う。

 

前回の2月は真冬で海風がびゅうびゅう吹く中、それでも半袖獄パンで暴れにきたぜ!という雰囲気の人たちがいたのに。獄の字を背負ったたくさんの人たちが、どこまでも続く長い列を1番だって抜かされないようヒリヒリするような気持ちで並んでいたのに。つい感傷的になってしまう。

 

スタッフさんの呼びかけで列ごとに並んで進むのは同じだけど、その先は初めてのことばかり。まず接触確認アプリのチェック、数メートル先で直接チケット画面操作の案内、さらに数メートル先でチケットと身分証明書とマスクをずらして顔も見せて確認。次に手渡しではなくひとつずつトレーに乗せられたドリンク交換コインを受け取った。

 

私の少し前の人の同行者が接触確認アプリを入れていなかったようで、列を外れて個別に対応されていた。アプリが確認できなかったら入場できないと。

 

厳戒態勢とはこのことだ、と思った。

 

でも入ってみれば場内はまったりとした雰囲気。 ステージはいつものセッティング、いつもの獄キャビネットにいつものVJスクリーン。でもフロアにはびっしりとイスが並べてある。みんな座ってるせいかリラックスムード。

ちなみに私の席は上手側の後方。PA席よりも後ろでかなりステージから遠いけれど、この場にいられるだけで満足です。

 

座席に何か置いてある。 ひとつはうまい棒。もう一つはきのことたけのこが印刷された、子どもの雑誌の付録みたいなピリピリ切り取って組み立てる用紙。割り箸と丸いシール型の両面テープもついている。

 

VJ画面には「きのこ・たけのこの作り方」の説明画像が流れていて、見ながら簡単に組み立てる。 できたのがこちら。

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何に使うか一目瞭然でニヤニヤしちゃうのをおさえきれない。周りはみんな長袖だな・・・と思いつつ半袖Tシャツで待機。

 

時間になり、影アナウンスが入る。 打首獄門同好会のライブにお越しいただき誠にありがとうございます、途中で笑いをこらえきれない場面があるかと思いますが、その際は声を出さずに~といった内容。

なになにそんなに笑うの?

 

と思っていたら始まった! 画面にはおなじみ「10獄放送局」特別編の文字! 新作だ!こうきたかー!!!

 

・・・

・・・

・・・

 

もう、笑ったよね!!!

お腹よじれて痛かったよね!!!

正直声出せないの拷問だったよね!!!

 

内容は、たぶん1月11日に公開される映像というのがコレだと思うので割愛します。っていうかこの面白さを文章で伝えきれる自信がない。絶対できない。

 

一発目にこれはやられたなぁ!入場前のちょっと寂しかった気分も俄然上がった!だいたいのことは吹っ飛んでしまう破壊力あり。

 

再び影アナウンスが入り、いよいよ! VJ画面に初めて見るオープニング映像が流れる。かっこいいのになんて書いてあったか覚えてない・・・。曲も初めて聴く曲。

 

そして入場SE「池袋のマニア化を防がNIGHT」! 会場のゆるい空気が一変する。座っていた人も次々に立ち上がり、腕を上げる。

満を持しての登場!(なんせ映像が長かったから)

 

いつものSEの音、でもオイ!オイ!の声を上げてはいけないことに気がつく。そう、今日は声をだしてはいけないのだ。そのことに、その意味に、ここで初めて気がつく。

 

応えられるのは、手と腕だけなんだ。

 

『1.新型コロナウイルスが憎い』

これだよね、この曲から始まるよね! ついに生歌が!会長が!あす香さんとじゅんこさんが!歌ってる!!とすごくすごく感慨深かった。一緒に歌いたかった!

 

『2.足の筋肉の衰えヤバイ』

なんと替え歌!

「ライブに来たけど運動不足が明らかでヤバイ」といった内容。VJ画面はちゃんと会長作画の替え歌バージョン。

ねこかわいい。ねこかわいい。

 

『3.筋肉マイフレンド』

もーもーもーイントロが好き、かっこいい、ギターかっこいい!!ライブで聴くのは2回目だけど、重い音でとっても好き。

 

イントロもいいけど、途中のラップぽく歌うところが一番の見所だと思っているのです。

 

今回事前に何の説明もなく曲に入り、スクワットタイムに突入しまして。ほとんどの方が淡々とスクワットする中で隣の方が「えっコレやるの?今??」みたいにアタフタしてて、でもしっかりやってくれて何だか嬉しかった。

いやあれ、何にも言われずに普通にやる方がおかしいんだよね?(ほめてる)

 

『4.島国DNA』

会長「この状況でもできることがある!337拍子!!」

ほんとだぁー!!!337拍子できるんだぁー!!

嬉しい。何かできるのが本当に嬉しい。こんな全力で337拍子することってある?!

 

こんなふうにライブのいたるところで「この状況でもできること」を模索してくれてるのがわかります。

 

たぶんここでMCなんだけど、今回はほぼ会長しかしゃべらないようにしている気がしました。 いやいつもわりとそうではあるんだけど、普段はMCであす香さんも会話に入ってきたりするのにそれも全くなし。意図的にそうしてるのだろうな。

 

そして会長のMCもいっぱい考えて練ってきた感じで、武道館の時の演出やMCを彷彿とさせました(行ってないけど)。映像も多めだし、飽きさせないようにダレないように演出を練りに練っているのがわかります。

 

そんなMCの肝心の内容、本当に本当に忘れてしまってなんで覚えていられないんだ私!!!断片ですが印象的だったところだけ‥。

 

「ライブハウス史上もっともつらい状況」

「厳しい、不自由なライブハウス」

「でも、俺たちに唯一残されたものが、音だ」 「ドラムを叩けば鳴る、ベースも、ギターも、アンプもスピーカーもそのままだ」

「この唯一残された「音」でお客さんを満足させられなかったら、名がすたる」

 

かっこいい‥。あと同じ場面だったかわからないけど今回一番心に響いたのが

 

「こんな不自由な中でもライブをやるし、こんな不自由な状況でもお金を払ってライブに来てくれる。

俺もおまえらも、お互い・・・好きだな!」

 

って!!大変キュンとしましたよね!!!

そうなんです好きなんです!

 

そして『5.牛乳推奨月間』からの『6.ニンニクは正義』

かっこよかったっ!超かっこよかった!!!ギターソロねギターソロ!超かっこよかった!!!

聴かせる曲。気持ちいい。IN OR DIEを叫びたい。

 

ニンニクつながりで『7.私を二郎に連れてって』

 

ここで数分の映像が入る。

このコロナ禍において最も感染者数が少ないところがある・・・それは四国。じゅんぐりじゅんぐり回って祈ろうといった内容。

 

きた!ついにきた!!!『8.88』だ!!!

私が打首さんの魅力に取り憑かれてしまったのが「88」のMVで、いつかライブで聴きたいと夢見ていた曲なのです。

 

何をどう考えても、寺の名前を連呼するロックバンドなんて他にない。しかもその音がむちゃくちゃかっこいいわけです。こんな音は、歌詞は、今まで聴いたことがない。一気に沼に落ちましたよね。

 

お遍路装束で鳴らす音、客席からのレスポンスがなくてちょっと寂しかったけどその分じっくり聴くことができた。よかった・・・。ありがたいなぁ・・・。

 

『9.New Gingeration』

ステージに風乃海くんだけ残る。スクリーンに「こんばんは!風乃海です!」の文字が出て、VJブースの前で無言のまま手を振る。どうやらスクリーン上でお話するみたい。

 

いくつかのセリフがあったんだけど(忘れた‥)とにかく 「みなさんコール&レスポンスしたいですよね?」

「フンフンフーンのハミングならいいそうですよ(専門家監修済み)」 という話。

その手があったかー!!!ここぞとばかりにフンフン応える客席。 そこにあす香さんのコール&レスポンスが入る! ああもう嬉しい。

 

「岩下のっ!新生姜!はいっ」

フフフフフーン!フンフンフー!

 

「岩下のっ!新生姜!はいっ」

フフフフフーン!フンフンフー!

 

不思議だ。不思議な光景なのにとっても楽しい。できるんだ・・・!

 

不思議な一体感のまま、新生姜ヘッドをかぶっての寸劇に突入。そうかこれも無言でできるやつだった!!

じゅんこさんが新生姜ヘッドをかぶったままベースのサリーちゃんを通そうとするけど通せなくて、会長もスタッフさんも手伝ってくれない・・・。どうしよう・・・。

 

でも今回は違う!ついに気づいてしまったのです! 新生姜ヘッドをとって、サリーちゃんを通して、またヘッドをかぶればいいじゃないー!!

ドヤ顔でポーズを決めるじゅんこさんがたいへんかわいい。

 

ちなみに新生姜、曲中でもサビで会長が「フンフンフー♪」と歌うところがありましてそれもたいへんかわいかったです!

 

さてここで5分間の「換気タイム」突入で笑い死にするかと思うぐらい笑うんですが、それも1月11日公開の映像でぜひ確認してください。

 

換気タイムの後、再びステージに出てきたじゅんこさんと風乃海くんが入れ替わって、じゅんこさんがVJブースの前に!!!

ええーっ!といいたいのに言えなくてふんふー!というざわめきがフロアに広がる。

 

布団の演奏に合わせてじゅんこさんがVJ画面を操作し、風乃海くんはじゅんこさんのベースを弾く・・・という高難度なことをやる気でたいへんにレア状況!

風乃海くんが布団のイントロを弾いて、じゅんこさんがVJ画面を切り替えようとおっかなびっくりボタンを押すと、大音量で「ドーーーン」と爆発音が。びびるじゅんこさん。

 

会長「なんか練習してるなーと思ったら・・・風海くんは頑張ったけどねぇ・・・」「大阪・名古屋ではやってないです、初めて」 おお、ほんとにレアだった!

 

そんなこんなでお二人とも元の位置に戻り、ここから『10.布団の中から出たくない』、『11.はたらきたくない』に続いて「日本のアニメはお好きですか-?!」で『12.サクガサク』とアニメ三部作。

 

ここでMCを覚えてることだけ。

「イスに何かおもちゃが置いてあったでしょう(きのこたけのこの工作とうまい棒)。セトリばれしないでって言っておいて、コレでだいたいなんの曲をやるか分かっちゃう」

「このおもちゃのきのこたけのこでセルフ戦争ができる。セルフ戦争。一体何を言ってるんだ」

「我々のライブではうまい棒を振るし、いつもはそのうまい棒をお客さんに回してもらうという、メジャーデビューしてたらあり得ない演出をしてるんですよ」

「さてどっちの曲が出てくるでしょうかっ?!」

 

で、きのたけだ!と思っていたら『13.デリシャスティック』で慌ててうまい棒を探す。

 

私は上手側からステージを見るのが好きで、ライブでは上手側最前列、上手側最前列とそこだけを目指してきた。 でもこの状況になってライブに来て初めて「ドセンで見たい、ギターソロを間近で聴きたい」と思った。

 

デリシャスティックのギターソロは、最前列のまんなかに陣取ったら手を伸ばせばギターに届いてしまうんじゃないかと思うぐらい近くで見ることができる。できない状況になってから初めてその贅沢さに気づく。

 

コロナが収束して自由になったら、いつか最前列どまんなかでデリシャスティックを聴くのだ。また生きる目標ができた。

 

『14.きのこたけのこ戦争』

みんなで手作りのきのことたけのこを振るんだよ、楽しくないわけがない!!

後方から見えるいちめんのきのことたけのこ。

音に合わせて高く掲げられるきのことたけのこ。

セルフきのこVSたけのこ。

これは後ろから見ることができて良かった。ステージからの眺めも壮観だっただろうなー!

 

続いて甘いものつながり『15.ああ無性』

今回ライブで聴いてめちゃくちゃ好きになった曲!! CDで聴いたときはとにかく歌詞が印象的なもので、いきなり甘いもの辛いものが食べたくなるというあるある現象にクスクス笑いつつ聴く曲だったんだけど、これはライブが良かった!

 

打首さんならではのお三方の掛け合いとハモり、そして歌だけじゃなく音もビシッと合わせないといけないところが多くて、それがまたビシィィィッと合うんだ!気持ちいい!

 

あとね、なんか色っぽい、色気のある曲だなと思ったんだよね・・・じゅんこさんのお声でしょうか?もし歌詞の意味がわからなかったら全然違う印象の曲な気がする!(打首さんの曲あるある)

これはもう一回聴きたい!ライブの定番にならないかなー!

 

そして甘いものときたら『16.TAVEMONO NO URAMI』からの『17.歯痛くて』!腕だけしか動けないのに空気が熱い!汗ばむほど。

 

『18.日本の米は世界一』

はやい!はやいよ、もう米なの!?

毎回ちょっと寂しくなってしまうけど今日はことのほか寂しい。

 

会長「今までご唱和くださいとお願いしてきたこの曲。ご唱和くださいと言える時がきたら、来年またライブハウスでお会いしましょう」

 

‥話はちょっと変わってしまうんだけど、私は人生には何度か「その前と後を分ける一日」があると感じることがあって。たとえば9.11の同時多発テロ、たとえば3.11の東日本大震災。その時自分が何していたかをはっきり思い出せる1日ってあるよね?

 

私にとって新型コロナウイルスによる「その前と後を分ける一日」は2020年の2月26日。政府が国内のスポーツ・文化イベントの自粛要請を出した日。

あの日から、アーティストとライブをめぐる状況は一変してしまって、特にライブハウスは大打撃を受けてしまって。あまりにも変わってしまった状況は10ヶ月たっても先が見えなくて。

 

でも会長はその何年も前から、その時も、その後も、ずっと同じことを言い続けている。

「またライブハウスでお会いしましょう」

 

そのブレなさ。一貫してライブバンドであり続ける姿勢を、今日のライブでも充分すぎるほど感じることができた。

私もまた必ずライブハウスに行く。その思いを込めて世界一!の人差し指を全力で指した。

 

 

 

アンコール。表向きは手拍子だけの、でもかすかに聞こえないぐらいの声で「最初から!」とつぶやくアンコール。

 

会長MC

「君たちは一枚の切符を手に入れた」

こんなに不自由なライブハウスは初めてで、一番しんどい時を知っている。そしたら次のライブがむちゃくちゃ楽しくなる。 来年のライブは声が出せるし動けるし、モッシュやダイブができるだけで楽しい、めっちゃ楽しくなるはず。来年のライブを楽しみに・・・といった内容でした。

 

会長「なんかすごいポジティブなこと言ってるな!」

 

そういうポジティブさがファンを支えてくれることって、あると思うんです。

 

『19.明日の計画』(泣ける)に続いて『20.フローネル』

 

会長 「幸せって・・・。ちょっと話ズレてもいいかい?」

「俺は今、福岡に来てラーメンが食べられないのがつらい。ホテルが駅前なんだよなぁ・・・駅前のShinShinのもっちゃんが好きでなぁ・・・」

「コンビニのおにぎり食ってるときが一番むなしい」

 

大変せつないです。もっちゃんはモツちゃんぽんのこと。せめてどこかでラーメン食べてほしかったなぁ。

 

そしてじゅんこさんどうぞのコーナー。

「私、昨日ホテルでコーヒーをぶちまけて。壁までいって」

「ちょっと前に自分の部屋でクリープをぶちまけて床がまっしろになって、それから10日もたたないうちにプロテインの1キロぐらいある缶をぶちまけてお部屋まっしろになって」

「ぶちまける運命を背負った女なんだよね」

 

という話からどう進行したか忘れたんですが、

 

「私、わりと几帳面なんだよね」に会長が「几帳面な人はそんなぶちまけないですよ?」でタンタカタンとドラムが入る。

コーヒー、その後どうなったんでしょうか・・・。大変。

 

「ありがとうございました、打首獄門同好会でしたー!」 でライブが終了してしまい、退場SEに「だらだらしたい」が流れる。曲が終わってしまったら、後方の席から順に退場。余韻に浸る間もない。

 

でも、そこまで徹底した感染対策を取る姿勢が、いまはただただすばらしいと感じる。

できないことを嘆くよりも、できることを全部やる。その心意気が伝わってきました!

 

だって楽しかった!めちゃめちゃ楽しかった!!できること、いっぱいあるって思えた!!!

 

またライブハウスで会える!次はもっと楽しくなる!と確信できるライブでした。